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都市開発事業経験者になぜ?開発するのか聞いてみました

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白金高輪駅が誕生したのは2000年。
白金タワー、アエルシティは
20年もの歳月をかけて2005年に完成した高層施設。

2020年、白金・高輪は、地下鉄開通以来の大きな変化がやってきている。

そもそも、
都市開発って何でするの
??

っておもいませんか?
・なぜ大規模な開発をするの?目的は?

・誰が損する?得する?
・人が増えて住みづらくなる?住みやすくなる?
大規模な開発だとお金の事情も気になるところですよね
そんな疑問を、
白金に長く住み、仕事で都内の都市開発事業に関わったことのある人物
Nさんに聞いてみました。


今回の取材でわかったのは、
個人の”私利私欲”のために開発するのではなく、
もっと大きな視点で”まちづくり”を考えている。

何より1番の目的は、
“燃えない町を作り、住民の生命と財産を守る”

別の言い方をすると
“町が燃えて、住民の生命と財産がなくなる”ことは
町にとって大きな損失になるということです。

白金新聞は、不動産投資もしてない、資産もない。
素人目線で投げかける質問にNさんは全部答えてくれました。

わかりやすく解説もしてくれてるので
都市開発に疑問がある方は、
ぜひ最後まで読んでいただきたいです。

白金新聞
本日はよろしくお願いします!
Nさんは大規模な都市開発に関わった経験があると聞きました。
職歴をお聞きしたいのですが

Nさん
いろいろ職歴あるのですが、
過去に駅前の大きな開発事業の事務職員の経験をしたことがあります。

白金新聞
単刀直入に聞きますが、なぜ再開発するのですか?

Nさん
再開発事業の一番の目的は防災性の向上です!
白金にも道が狭くて木造の建物が密集している場所ありますよね?
火事になっても消防車が入れないとか
老朽化した建物を共同で建設することで基礎体力の向上を図ることです。

白金新聞
詳しくお聞きしていいですか

基本は等価交換!噂話に流されないで欲しい

白金新聞
防災性の向上といわれても、
親子何代で長く住んでいる家庭など、
住民の説得が大変だと思いますが

Nさん
大変です。
いろんな場合があるのですが
決議をする場合は多数決をとります。

土地の持ち分、建物の持ち分、借家権、
人数だけじゃなくて権利の種類もあります。
人それぞれ事情も違いますから。

白金新聞
家の大きさもそれぞれですよね

Nさん
さらに会社や商店をしている場合、社員の要望です。
権利者が賛成でも、家族や関係者で反対の声があがることがあります。

白金新聞
権利を持っている人以外も納得させなくてはいけないんですね…
合意に何十年もかかって、事業資金が大きいと心労も…大変そうですね
じゃあ、誰かが必ず儲かるという仕組みではなさそうですね?

Nさん
もちろんです。
再開発事業組合ができるということは、
事業が立ち上がったということになるので
会社設立と同じことなんです。
だから常に身綺麗で公平性を保っていないと
地元の権利者や関わる企業から信頼がなくなってしまいますから

白金新聞
監視の目があるんですね

Nさん
他にも様々な問題を解決していくわけですが
建てたはいいが管理費がかかる。
完成後も管理費や町会費をみんなで負担していくお話も大事で
”俺エレベーター乗らないから管理費は…”って話もありますから(笑)

白金新聞
持ち家の人でも、
今まで払っていない管理費が必要になると
説得大変ですね…

第一回説明会で反対80%

白金新聞
開発の順序をお聞きしたいのですが

Nさん
①都市計画作り→②住民と合意形成→③事業化となります

白金新聞
合意形成が長そうですね…

Nさん
合意形成で住民200人と交渉するには、
1日1人と単純計算しても最低200日
はじめに話した人から数えて200日後になります。

白金新聞
まず、1人1回の面談で済まなそうですし…

Nさん
人の気持ちを変えていくわけですから時間がかかります。
その間にも、経済変動(※消費税など)によって内容が変わると
当初計画していた事業資金が変更になります。
その締め付けを都市開発に関わる企業が補填することもあります。
みなさんと何度も交渉して頓挫することもあるので、
完成まで20年以上かかったりするんですよね。

白金新聞
さすがに経済変動までは、計算できないですよね…
都市開発といえば、国や区が主導ではない開発もあって
利益が最優先の都市開発もあるような気がします
もちろん商売として成功することも大事だと思いますが

Nさん
ありますね。
企業主導の開発は、我々と目的が違う場合もあるので
別のお話ということで(笑)

苦情を検証するのに1年以上、費用は百万以上

Nさん
新しく商業施設ができると、様々な要望が出てきます。
ビル風が酷くなるとか景観が変わるとか。
1万人流動のある商業施設ができると人混みが増えるから
地下鉄が混んで生活しずらくなると声があがります。

白金新聞
確かに、1万人増えると不安になりますね

Nさん
過去に経験した開発で
一挙に5万人のお客さんが移動する駅がありまして
鉄道会社に相談したことがあるのですが
“心配しなくていいですよ5分で片付きますよ”あっさり言われました。

白金新聞
確かに!何度も行ったことのある駅ですが
行列はすぐになくなってました

Nさん
それでも、住民の方に納得していただくためには調査しなくてはいけません。
ラッシュ時の時間帯、春夏秋冬シーズン、時間帯ごと、
スタッフを雇って1年間は調査するので100万はかかりますね。
また、綿密な調査をしないとクレームになりますので。

白金新聞
月日とお金が大分かかりますね…

Nさん
風力調査、日照調査もやりましたよ(笑)

白金新聞
他にも調査があるとは、大変ですね…

関わる人達の要望を計算

白金新聞
要望にかかる費用も含めて事業予算組むことが大変そうなんですが

Nさん
昔の建物を現在の資産価値に計算すると
2LDK→1LDKどうしても狭くなってしまいます。
理由は、昔より土地の価格や物価が上がていることと
建物が新築に変わるからです。

白金新聞
買った時の資産価値によっても変わりますね
バブルに高値で買って築30年以上だと資産価値は下がりまから…

Nさん
そうした場合、
建物の土地と余った容積(例:駐車場.空き地.庭)を足して
高層施設にした利益で、皆さんの引っ越し代や部屋の広さ、要望を確保しようと努力します。

皆さんに分配される開発利益というのは、建物の高さを増やした業績で還元する

ので、
自分たちの資産で建て替えより、再開発事業のほうがいいと思います。

白金新聞
利用されてなかった部分を活用して利益になるんですね

Nさん
他にも、低層で空き地あったり、地下権で利益を出す
方法もあります。
同じ面積、
家賃の保証、引っ越し代
を還元するために計算しなくてはいけません。
合意形成をはかる時に権利変換の話を密にしないと
その間にも税率が変わったりしますから

白金新聞
2階建ての一軒家があったとすると、空中分(3階より上)と
地上階分と地下分の面積で利益を出すってことですね
今までちゃんと考えたことがなかったです…

慣れない大金を持つと税金の勉強が必要

白金新聞
過去の取材で、
白金に町工場がたくさんあった頃、
バブルで土地の価値が上がり大金が手に入ったが、
大金が原因で家庭が不仲になり地方に引っ越すことになった不幸話や

町の噂話に流されないように何度も説明会に通ったから
今まで通り幸せに暮らせている
というお話を聞いたことがあります。

Nさん
何度も言いますが、基本は等価交換ですから
例えば、1億のものが3億で売れて
2億儲かった!と思っちゃいけないんですよ
もちろん、合意形成の時に税金について説明をするのですが
細かいとこまでは覚えてないとか数年後に税金がきたとか
住民のみなさんには、しっかり税務相談で教え込まないといけません。

白金新聞
税金のお話までは…しっかり慣れていないと
難しいですよね
全員、税務相談するべきですね!

町づくりにおいて町会コミュニティは大事

Nさん
あと我々が心配しているのは、
新しい住民が入ってきてコミュニティが壊れることです。
町づくりにおいて町会コミュニティは大事。
新しくきた人には煩わしいと思う人もいますけど
新旧住民が仲良くして欲しいですね

白金新聞
僕もそう思います!
新旧住民が歩み寄ることで、
もっと住みやすい町になると思います!
ありがとうございました!!

Nさん
プロフィール
昭和34年 墨田区役所入社
昭和52年 押上二丁目地区再開発事業(旧同潤会アパートの改築)に従事
昭和63年 錦糸町駅北口地区再開発事業に従事
平成12年 株式会社アルカタワーズ入社(建物管理会社)
平成30年 社長退任

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