白金新聞は東京白金の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

第一回 白金今昔物語 “青果大信”<後編>

白金に長く暮らし、

“今の白金””昔の白金”を語っていただく
インタビュー企画

第一回白金今昔物語<後編>
青果大信(せいかだいしん)さんです。

白金新聞#003写真29

1.いつ訪れても笑い声あふれるフレンドリーな店内
小さな子供からお年寄りまで、
茶目っ気たっぷりのお兄さんとの
楽しい会話で店内が満たされている。
気づけば自分も会話の中へ。

2.懐かしい音楽と想像を凌駕する焼き芋の甘さ
「アツアツ、ネットリ」焼き芋の概念を覆す、
忘れられない味。訪れた人を魅了する焼き芋と音楽。

白金新聞#003写真23
角方家、長女の裕子さんの夫、成田さん大信に30年以上勤務


店内に置かれた謎の椅子

レジ前に置かれた2つの椅子。
この椅子が笑い声のあふれる店内の秘密でもあった。
大信は四の橋商店街で営業しており、
近所にはご年配の方や小さな子供のいる家族が多く住んでいる。
そのご年配の方や、小さな子供のために椅子を置いていた。

角方則行
不思議なもので、椅子に座るとホッするのか口数も増えてしまうみたいでさ、

お年寄りのお客さんには、一休みしてもらいたいっていうのと

座ると買うもの思い出すんだよ笑

白金新聞
それは大事な椅子ですね笑

ご近所さん、常連さんとの冗談や世間話に拍車をかけるのは
茶目っ気たっぷりの角方則行さんだ。
さらには世話焼きの社長も加わって井戸端会議の開始である。
見知らぬお客さんを会話に巻き込むことも少なくない。

白金新聞#003写真31
果物だけではない、
誰をも魅了する焼き芋

大信には果物だけではなく、もう一つ売りがある。
それは冬の風物詩の焼き芋だ。
四の橋商店街を歩くとどこからともなく
聴こえてくる懐かしい焼き芋の歌。

???誰が歌ってるの???笑

角方則行
なんかクセになるというか耳に残るよね

白金新聞
これって日本人の声じゃないですよね笑

子供が口ずさんだりしてるよ笑
夕暮れ時の公園でリヤカーから聴こえてくる
焼き芋の歌・・・ではない。
キューバ調にアレンジされた何とも独特な焼き芋の歌。
頭から離れないとは正にこのこと。

白金新聞#003写真21

アツアツで素手では持てないほどだが、
知っている焼き芋とは何かが違う。
焼き芋自体がグニャグニャと折れ曲がる。
不思議に思いながら二つに割ってみると、
「ねっとり」とした焼き芋が姿を現した。
見た目は黄色くて美味しそうな焼き芋だが、
ホクホクとした感じがしない。
口に運んでみるとその理由がわかった。

白金新聞#003写真26
しっとりねっとり系

甘い。とにかく甘い。ねっとりとした食感と想像を超える甘さ。
例えるならスイートポテトである。
甘すぎて思わず
「これは焼いただけですか?」と聞いてしまうほどだ。
なぜこんな甘い焼き芋を作れるのか。
それはさつまいも自体に理由があった。
紅はるかという品種のさつまいもを使っており、
この品種がねっとりとした甘さを持っている。
紅はるかは有名な安納芋の兄弟みたいなもので、
本州で栽培しているという。
大信では2、3年前に市場に出回り始めた頃から使っていて
紅はるかを使った焼き芋の先駆けとも言えるだろう。
このねっとりとした甘さの紅はるか、
そして頭に残る独特な焼き芋の歌が誰もを魅了する秘密だった。

白金新聞#003写真5
一日で50キロ(10箱)の焼き芋が売れた

角方則行
じつは…ストーブ代わりの焼き芋だったんだよね

白金新聞
ストーブ???

焼き芋を始めたのは30年ほど前のことだという。
始めたきっかけは寒い冬の時期に
何とかして暖を取りたかった。
そこで思いついたのが
焼き芋を焼く熱を利用して暖まるというもの。
今でこそ電気を使った焼き芋を焼く機械で作っているが、
当時はプロパンガスで土鍋を使って焼き芋を焼いていた。
しかし、実際には土鍋の中が熱くなるだけで
外までは暖かくなることは無かったそうだ。
そこで暖かくならないから焼き芋を辞める…
とはいかず。ロングセラー商品になった。
たまたまのように感じるが、長年の経験を持つ八百屋さんが
オススメするんだから、美味しいんです!

白金新聞#003写真60
どこかで
見たことありませんか?

店内の写真を見てピンと来た方がいるかもしれない。
実は大信はこれまで多くのメディアに登場している。

野菜や果物の価格が高騰した時には、
真っ先に取材が来るという。
全国区のニュース番組にもしばしば登場している。
最近では、”逃げ恥”の名で話題を読んだ
TBS系火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』
にてロケが行われた。
当然、角方則行さんも写っている。
自前の緑色のパーカーが印象的で、
お客さんから出演していることについて
聞かれることも多いという。


八百屋あるある
八百屋の息子はメロンがキライ

八百屋に生まれた子供であれば
誰もが納得するという、このあるある。
それは八百屋の息子はメロンがキライというものだ。
脳裏にはたくさんのハテナが浮かぶ。
甘くて美味しいメロンをなぜ嫌いになるのだろうか。
それは売れ残りのメロンをおやつとして
食べていたからだという。
メロンは熟し過ぎると酸味を帯び、
ビリビリとした食感になる。
甘い食べ頃のメロンはお客さんの元へ、
売れ残りをおやつとして息子の元へ行き着く。
このメロンを通称「電気メロン」というだそう。
大人になった今でこそキライではないが、
自ら進んで食べようとは思わないと
ビリビリとした・・・いや苦い顔をして語ってくれた。

他にも、
仕入れに行ってる青果市場にまぐろ丼が美味しいお店がる!
これからの八百屋は、惣菜もやらなくちゃいけない!
などなど、詳しく聞きたい話がたっぷり。

ぜひ、食べ頃の焼き芋を食べに、
青果大信まで
足を運んでみてはいかがですか
地域の人々のふれあいや、
季節の果物、旬の野菜との
出会いが待っています

青果大信 (八百屋/商品配達)
定休日 日曜・祝日
営業時間 9時〜19時
住所 港区白金3-9-6
電話番号 03-3446-2873

Share (facebook)