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第八回白金今昔物語 獅子井英子さんです<前編>


☆動画限定エピソードあります☆
白金に長く暮らし、
“今の白金””昔の白金”を語っていただく
インタビュー企画

第八回白金今昔物語 <前編>
白金初であり、冬季オリンピック初の日本人女子メダリスト
1998年カルガリー冬季オリンピックで
金メダルを獲った獅子井英子さんです

白金理容かわむらの店主河村さんのご紹介
インタビューに参加していただきました!

まずはカルガリーオリンピックの動画をどうぞ

白金新聞20191026獅子井英子027

1.チーム柏原一期生。世界選手権優勝、
カルガリーオリンピックでは金メダル銀メダルを獲得し
“ショートの女王”と呼ばれる。


2.試行錯誤の自宅介護がきっかけで介護福祉の世界へ。
介護福祉士、認知症ケア専門士など様々な資格を取り、
現在、立正たちばなホームで副施設長を務める。

獅子井英子さん(ししい・えいこ)
プロフィール
白金1丁目志田町出身
三光小学校
朝日中学校
藤村女子高等学校
世界選手権 優勝(1985年)(1987年)
カルガリーオリンピック (1988年)
女子3000mリレー銀メダル
女子3000m 金メダル
社会福祉法人立正橘福祉会 立正たちばなホーム
https://risshotachibana.or.jp/

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第四回白金今昔物語
オリンピック選手を25人も輩出したチーム柏原
スピードスケートショートトラックのコーチ、監督を務め、
有限会社柏原工務店を経営する柏原幹史さん

白金新聞20191026獅子井英子018

白金でスケートと出会うきっかけ

白金新聞
過去に柏原さんの取材したことあるんですが
スケートと縁がないような場所、白金で始めたスケート教室から
いきなりメダルを取るような選手を輩出したというのが不思議で

今回、その教え子である獅子井さんに取材できるのがとても嬉しいです!

獅子井英子さん
私の実家の前に公園がありまして
そちらを挟んだ隣に柏原さんのお家。
先にスケートを始めていた竹内洋美(※)ちゃんに誘われて
私は、中学校ではテニス部に所属していたので
塾や習い事のようにスケートを始めました

※同級生でカルガリーオリンピック出場選手

白金新聞
白金でスケートって珍しいですよね

獅子井英子さん
私も誘ってもらった時にスケート??って思ったんですけど
柏原さんが入っていたクラブチームの
ホームリンクに遊びに行ったのがきっかけです
スケート初日から面白くて。

白金新聞
スケートの経験があったのですか?

獅子井英子さん
もともと母が長野県の伊那市出身で、
田舎に行くと湖でスケートをしていたので
若干滑ってたくらいです

白金新聞
で、噂に聞く
柏原さんのハードの練習が始まるんですね(笑)

獅子井英子さん
最初は全然です(笑)
練習は、週一回。メリーメント(※)って言うチームの練習が木曜日だったかな
大人のチームで中学生とか高校生が少なくて
中学生のうるさい女子2人が(笑)遊びの感覚で通っていました。

※今井スケート靴店のスケートチーム

河村さん
竹内さんのお母さんとか
坂井くんとかみんな幼なじみなんだよ

獅子井英子さん
チームの中に世界選手権に出ている柏原さんがいて
最初はブンブンコース走ってて
私と竹内さんはリンクの真ん中でお遊びのように滑っていました。
自然と意識が高まるじゃないですけど
選手達の中にいると徐々にお遊びからトレーニングになっていって

白金新聞
周りは世界レベルですから刺激を受けたんでしょうね

獅子井英子さん
中学校2年生ぐらいになった頃には
小さい大会から出るようになりました。
最初は東京都の大会、関東大会、
関東大会で上位になると全国大会に出られて
練習する日も週1回から
東京都の練習にも参加するようになって週2回
柏原さんについていただいて週3回

白金新聞
ステップアップしてますね!

白金新聞20191026獅子井英子019

全日本大会、世界選手権に出場

獅子井英子さん
中学校3年生のときには全日本に出れるようになり
結果、全日本4位になって世界選手権にも選ばれる事になりました。

白金新聞
中学生で!?全日本4位はすごい!
神童現る!ですね

獅子井英子さん
その後は、有栖川公園で柏原さんの陸上トレーニングも始めて
少しずつ上手くなっていくと、練習メニューも増えていきました。

白金新聞
より本格的なトレーニングになっていったわけですね
高校に進学からはどうでしたか?

獅子井英子さん
まず、中学3年生の受験シーズンが世界選手権で(笑)
スケートをしていると冬の時期
10月位からどうしても遠征が多かったりするので
高校は運動に理解のある学校で
吉祥寺にある藤村女子高等学校に入学しました。

白金新聞
ということは、
中学3年生からスケート中心の選手生活になりますよね

獅子井英子さん
一応、中学校の部活で3年間テニス部で
港区の大会に優勝して都大会まで行きました

白金新聞
テニス部でも好成績!?
運動神経がいいんですね(笑)
テニス部からも誘われそうな気がするんですが

獅子井英子さん
自分でもテニスかスケートか
ちょっとだけ迷った時期があるんですけど
良い成績が出ていたスケートに決めました。

白金新聞
中学生で全日本4位ですから高校でも
みんなに期待されますよね

獅子井英子さん
はい、高校2年生の時に全日本で優勝して
その年から世界選手権絶対勝てるよって
言われ続けてたのですが、3年間ダメだったんです。

白金新聞
全日本優勝でも充分です!
高校生で目標が世界に向いてるってことが凄いです

獅子井英子さん
高校の時に、インターハイ優勝、国体で6回優勝して
ショートトラックだけじゃなくてスピードスケートもやっていて
どっちに行こうかなって迷ってる時期がちょうど就職の時期で。

オリンピックを目指していたので
ショートトラックとスピードスケート
両方強い愛知県名古屋にある西濃運輸の実業団に入りました。

白金新聞
オリンピックを目指し、名古屋に移り住むわけですね

獅子井英子さん
はい、高校卒業して実業団に入るタイミングで
名古屋の寮に入りました

白金新聞20191026獅子井英子015

世界を目指すスポーツ選手の1日とは?

白金新聞
ちょっと話を戻しまして
柏原さんのトレーニングについて聞きたいです!

獅子井英子さん
ちょうど柏原さんに許可を取ってこの写真を持ってきました。

河村さん
目標に向かって突き進む2人
いい写真だよね

獅子井英子さん
ここにマイクしてるんですけど
指示をもらいながらトレーニングしている写真です

白金新聞
緊張感も伝わってくるいい写真ですよね
マイクで指示を出しながら滑る!?というのは
柏原さんオリジナルのトレーニングですか?

獅子井英子さん
全日本ではやってなかったので柏原さんオリジナルだと思います

白金新聞
近代的なトレーニング方法ですね

獅子井英子さん
当時は、毎回同じリンクで練習ができなくて
リンクを探して探して毎日リンクが違うところで練習するんです。
後楽園だったり高田馬場だったり江戸川、高砂、王子だったり
あちこちのリンクで夜遅くまで練習してました。
移動時間もありましたから帰ってくるのは日付が変わるか変わらないかで…

白金新聞
もう、プロアスリートの生活ですね

河村さん
普通の女の子みたいに遊びたいってなかったの?

獅子井英子さん
最初はあったと思うんですけど
高校の時は友達と遊びに行くとかなくて。
高校生活は朝4時半か5時から朝の練習をして
練習道具を持って渋谷のロッカーに練習道具を入れて
井の頭線で吉祥寺の学校に行って
学校の帰りに渋谷のロッカーから練習道具を持って
毎日違う練習場に行くという生活でした
家での睡眠時間が短くて…

白金新聞
超ハードですね

獅子井英子さん
そうなんですが、教えてくださるコーチは、
もっとハードです。
仕事しながら練習はボランティアですから。
コーチの柏原さんは朝4時から
一緒に練習して仕事しての日々だったと思うので
本当に感謝してます

白金新聞
本当に、熱意がないとできないです!!
柏原さんの指導は厳しかったですか?

獅子井英子さん
怖かったですよね(笑)

白金新聞
ですよね(笑)

獅子井英子さん
実家の前の公園が広場として今も残っていて
ほんのちょっと時間が空いた時でも
その公園でトレーニングをしていました。

設備が整ってない場所でもやれる事はたくさんあって
有栖川公園で2時間半トレーニング。
公園ではスケートのフォームのトレーニングもできますし
機械を使わなくても腹筋、背筋もできる。

近所で見かけた人達は何やってるんだろうと思ってたかもしれないんですけど
柏原工務店の駐車場から車を出したところに
競輪選手が使う自転車のローラー台を出して
トレーニングもしていました。
柏原工務店が広いので雨の日でも
練習は休みにならなかったです(笑)

白金新聞
徹底してますね(笑)

河村さん
前に歩いてると柏原さんに声かけられてさ
北里病院の裏にある高速道路の高架下でトレーニングしてたんだよ
今でもそれやってるんだから偉いよね

獅子井英子さん
ちょっとしたスペースでも練習しますから(笑)

夏には電気が通ってない山の中。
山梨県の甘利山で山籠もりする練習がすごく嫌でした(笑)
山を走っては降りて
降りては登って、基礎体力作りですね

白金新聞
もっとハードな練習もあるんですね…
スケート選手の練習は、8割体力作りと聞いたことがあるんですが

獅子井英子さん
東京都はスケートリンクで練習できる時間が限られていて
多くの人が練習に来ます。
貸切で1時間から長くて1時間半
おもいきったスケートの練習が長時間できないこともあって
ウェイトトレーニングやイミテーショントレーニングも取り入れていました

白金新聞
その後、獅子井さんは高校、社会人もスケートを続け世界選手権優勝
オリンピックに向けてどんどん成長していくわけですね

獅子井英子さん
実は、オリンピックで全種目でメダル取る目標でいってました

白金新聞
え!?全種目ですか?

白金新聞20191026獅子井英子017

3000m女子リレー選手:木下真理子、山田由美子、竹内洋美、獅子井英子

女子500m、1000m、1500m、
3000m、3000mリレーの全5種目に出場
オリンピックのプレッシャーを語る

獅子井英子さん
これはリレーで2位銀メダルをとった写真です
リレーは私と竹内洋美ちゃん。
あと2人は帝産オートの選手で実業団に入ってから
柏原さん家に下宿していたので
女子リレーのチームは4人全員
柏原さんの教え子が銀メダルをとりました

白金新聞
チーム柏原凄いです!

獅子井英子さん
1500メートルは、絶対優勝できる自信があったんですけど、
レースで弾き飛ばされて差が出ちゃって間に合わずに…

500メートルは、ちょっと苦手なので銅メダルでいいかな位だったんです
予選で転んで入賞できず…

精神的なものがあったのか、
いつもなら起きないことが起きたり

白金新聞
全種目メダルを期待されていたのに
重圧に変わっていくと…

獅子井英子さん
スケート靴って位置を決めるんですけど
スケート靴が合わない、全然位置が決まらない
色々と迷いが出てきちゃって
コンディションに納得いかないと
ハードな練習をしてオーバーワークになって…
それも今となってはプレッシャーのせいだと思うのですが。

白金新聞
スケート靴はミリ単位で調整すると聞きますが
そこに迷いが出てくると大変ですね…

獅子井英子さん
500mで転んだ時に、
ちょっと調子が戻ってきた感覚があったんです。
だけど次の種目1000mもダメで…

白金新聞
感覚が戻ったとおもったのに結果がでない…
さらに追い込まれていきますね

獅子井英子さん
最後、3000m。
これでメダルを取れなかったら日本に帰れない…
殻に閉じこもるじゃないですけど
みんなシャットアウトしてご飯も食べなくて
朝、起きたら凄い顔して悲壮感で、
ほぼ一睡もしていない凄い状態で3000mに挑みました

白金新聞
最悪の状況ですね…

獅子井英子さん
当日、500mで銅メダルとった西濃運輸の先輩、
石原 辰義選手がスタートラインのところで

“もうメダルとらなくてもいいよ、会社には俺が一個取ったからとらなくても大丈夫だよ”
“出せるだけ出して頑張ってくればそれでいいよって”

ゆってくださって気が楽になりました。

白金新聞
流れが変わった瞬間ですね

獅子井英子さん
先輩の一言のおかげでやれるだけやろうって
気持ちを切り替える事ができて
無事、3000mで金メダルを取ることが出来ました

白金新聞
実際にお話を聞くまでは、
才能のある選手が、簡単にメダルを取ったように感じたんですけど
迷いやプレッシャーの中、やっととれた金メダルだったんですね

白金新聞20191026獅子井英子09

プレッシャーから解放されて笑顔の獅子井さん

ショートトラックを有名にする使命

白金新聞
オリンピック金メダルをとって、環境の変化はありましたか?

獅子井英子さん
もともとショートトラックがマイナースポーツなので
世界選手権で優勝しても新聞には載りますがそこまでは注目されていませんでした。

白金新聞
今でこそメダルをとれば新聞の一面を飾りますが
まだ当時はマイナーだったんですね

獅子井英子さん
カルガリーオリンピックの1年前の世界選手権で優勝した時は
オリンピックへの期待も込めて多くの取材を受けていました。

取材が多くなっても練習にも集中しなくてはいけないので
取材の調整は監督たちにお任せして、ある程度制限をかけていただいてました。
ただ、ショートトラックを有名にしなくてはいけないと言う使命もあり

白金新聞
競技を有名にする使命もプレッシャーのひとつだったんですね

獅子井英子さん
オリンピックから帰ってきてからは
空港に着いて会社が決めた取材を分単位スケジュール。
その後も特番や取材を数本と、
オリンピックに関する取材が1ヵ月ぐらい続きました。

私が所属する実業団が他と比べて特殊なのは、
仕事に影響がないように取材を選んでいることでした。

白金新聞
その会社というのが
名古屋の西濃運輸さんですね

河村さん
彼女のおかげで西濃運輸の名前が知れ渡ったんだよ

白金新聞
オリンピック金メダルだと全国どころか世界に知れ渡りますね!
気になったのですが、
他の実業団と違って特殊というのは?

獅子井英子さん
西濃運輸のスケート部は、私が入る2年前に作ったチームで
他の実業団と、取り扱いが違っていました。
違いというのは、スケートのシーズン中でも試合と試合の間に1日あったら仕事をしなくてはいけなくて

白金新聞
スポーツ最優先で打ち込む実業団もある中で特殊ってことですね

獅子井英子さん
西濃運輸の社長が
スポーツ選手はいつ怪我でスポーツができなくなるか分からないから
スポーツができなくなることも考えて、時間があれば社会人として仕事をする。
しっかりした考えでやっていました。

なので普通のOLさんと同じで朝の掃除に始まり
17時半まで勤務した後に練習していました。

白金新聞
素晴らしい考えだと思います!

<後編>では
白金の思い出や現在の仕事について
お話を聞きました

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